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海獣学入門

こんにちは。
最近バイト先を変えました。今の職場では働くことに幸せを感じています。新4回生漕手の森島です。

突然ですが、ボートって美しいですよね。
めっちゃ進んでる船は漕手とボートがまるで一つの生物であるかのように、美しく滑っていきます。
漕手が推進方向にだけ力を伝えるようにすることはもちろん、流線型のボートそのものの形や、ラダーを最低限に切ること、これらも重要なファクターです。

ボートはひたすらシンプルにこの美しさを追求するものだと思います。
(勘違いしないでほしいのは、筋力や体力は必要条件だということです。ウサギがどれだけ綺麗に跳んでも、カンガルーには勝てないでしょう?)

なんでこんなことを書き出したのかと言うと…
これです!可愛いでしょう〜
人間と同じ哺乳類ながら水中を美しく進む海獣、アシカです!

オフを利用して「城崎マリンワールド」という水族館に(ソロで)行って来ました。
京都にも水族館はあるのですが、ここの海獣はみな良く調教されており、色々なことを教えてくれます。

アシカは「鰭脚類」といって四肢が鰭(ヒレ)状で、流線型の体型をしています。
同じ鰭脚類にはアザラシやセイウチもいますね。

見た目で、セイウチは長い牙を持つので分かりやすいですが、アシカとアザラシの違いって何でしょう?
それは泳ぎ方にあります。
アシカは前足がオールのブレードのように長く、これを羽ばたくように動かすことで推進力を得ます。後ろ足は舵取りやブレーキの役割を果たします。
一方の、アザラシは後ろ足を左右に振って魚類のように進みます。アシカとは逆に前足で舵取り、ブレーキを行います。
最大速度についてはアザラシよりもアシカの方が上です。アシカは水中で40km/h以上も出してしまうんです!

本来住んでいる場所よりもはるかに狭い水槽の中で、彼らは
①推進力(加速力)を生み出す
②抵抗を減らす姿勢で流される
③ブレーキをして方向転換する
を繰り返しています。
ぜひ水族館で彼らの泳ぎをじっくり見て、違いを発見してほしいですね。

ところで、水族館ではよくイルカショーだけでなく、アシカショーも行われますよね?アザラシショーは珍しいのではないでしょうか。
その理由の一つとして、アシカは前足がムキムキだというのが考えられます。
水中での推進力を生み出し、陸上でも移動に使われる前足は非常に発達しています。100キロ以上もある自重を前足だけで支えて倒立することも可能なんです!すごい!
アザラシは残念ながら陸上では芋虫のように動きます。シャチやホッキョクグマに食べられてしまいそうです…

さて、アシカの泳ぎ方を間近に見た僕は「これボートに似てない?」と思いました。体の中心部あたりにある前足で推進力を生み(リガーとオール)、進行方向から見て一番後ろの後ろ足で舵を取る(スタン)。
まぁ、水中と水面の話なので、全然違うかもしれませんが、アシカに勝手にシンパシーを感じてしまいました。
こんなに美しく泳ぐ生物のように僕もボートを漕ぎたいなあ、と。

結局ボートの話に戻ってしまいましたが、美しく進むモノには、それだけで見る価値があると思います。
複雑なことを色々やっても最終的にシンプルで綺麗な形になるという点で、自然界が生んだアシカの泳ぎも、人間が生み出したボート競技も一緒なのかもしれません。

まぁボートの話は置いといて、水族館は生命の神秘の一端を、分かりやすく伝えてくれる素晴らしい場所です。
また、地域と連携した水族館では、その土地の文化や歴史、食生活なども垣間見える展示があったりします。
「水族館とかデートスポットだろ笑」とか思っているそこのあなた。パートナーを放っておいてじーーっくり学び楽しむ水族館巡りはいかが?

お別れするイルカ。芸達者なことで。
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