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120%の魂がぶつかり合うその中心で

M1の吉田紘子です。漕手(兼コーチ)です。今度のインカレでは4×と8+に出ます。

私は小1から現在に至るまでの17年間、競技スポーツをしてきました。小1から中3までは水泳、高1から高3までは陸上、大学入ってからがボートです。

今度のインカレでこの17年に終止符を打ちます。ガチでやるスポーツはこれで終わりにします。昨年は「一旦引退」でしたが、今年は「本気の引退」です。これが2回目のラストブログですが、今回が真のラストブログです。

高校の時の走ってる写真を載せようと思ったがスマホのアルバムから一つも見つからなかった。そんなことある??仕方ないでThe部活って感じの整列写真を拾ってきた。この頃は部活が楽しくてスポーツを辞めようなんて1㎜も思ったことがなかった。

 

練習でやってきたことしか本番で出せない、と言う人がいます。もちろんそのつもりでたくさん練習することは大事で、どれだけ練習を頑張ったとしても練習の成果が100%出せるとは限りません。100%出せたとして、自分が目標とする順位に到達できるとは限りません。本番で練習通りの実力を発揮して勝つのはとても難しいことです。

しかし、100%の力では勝てないような格上の相手に、本番で120%の力を出して勝てるようなことがごくたまにあります。先日パリオリンピックが開催されていましたが、決勝でパーソナルベストを更新し、メダルを獲得する場面を何度か目にしました。本番で100%出すこと自体が難しいのだから、プレッシャーのかかる大舞台で120%の力を発揮するのは相当難しいことです。大舞台で自分の限界を超えられるような瞬間は、血のにじむような努力を積み重ねられた人にしか訪れないと思います。だからこそ、そのような瞬間に立ち会えた時、私はその人がそれまでしてきた努力を想像し、リスペクトの気持ちでいっぱいになり、心が熱くなります。

他人事のように書いていますが、私にも120%の力を本番で出せたことで勝てそうにない相手に勝てたり、達成が難しいと思っていた目標を達成できたことが17年間で数回だけあります。ボート部に入ってからは一度だけあります。どんなに練習がきつくても、数年に一度訪れるその瞬間により全てが報われて、それまでの苦労を忘れてしまいます。観客としてその瞬間に立ち会えるだけでもとても幸せなことですが、自分自身が選手としてその瞬間を経験した時の感情に勝るものはありません。

これが例のボート部に入って一度だけの瞬間。3回生の6月のことだった。1か月前に2000mで20秒差をつけられて負けた相手に初めて勝てて、1着でゴールしたレースだった。香川さんにはこれが実力だ、と言っていただいたが、自分では練習の120%を出せて勝てたような感覚があった。

 

もちろん大差で勝てるに越したことはないですが、僅差で勝てたレースは喜びが倍以上になります。私の中で印象に残っているレースはほとんどがギリギリで勝てたレースかギリギリで負けたレースです。ギリギリのレースは、体力的にも精神的にも本当にきついですが、ずっと並んでいたところから半艇身、一艇身と徐々に相手が見えるようになってくる瞬間、その差を守り切ってゴールし緊張から解き放たれた瞬間は、最高にワクワクします。

昨年のインカレ2×(S原B吉田)のB決勝。奥が京大、手前が法政大。上が1500m、下が1750m地点。250mで半艇身差を詰める猛スパートが決まった。最後0.05秒差で競り負けてしまったものの、非常に興奮するレースだった。今年こそは勝ち切りたい。

 

選手を引退するということは、120%の魂がぶつかり合う勝負をするチャンスがもうなくなるということです。それ自体は悲しいですが、もう十分やり切ったかなという感じです。

偶然か必然か、大学では人間健康科学科というヒトの身体に関する学科を選び、今年3月には理学療法士の資格を取り、現在は筋肉について研究しています。選手は引退しても、研究者なのか、理学療法士なのか、あるいは他の職業なのかはわかりませんが、自分の選択と行動次第では仕事としてスポーツに関われる可能性があります。選手が120%の力を発揮して大勝利を収めた時、その中心にはいられなくとも、選手を支える立場としてその中心に限りなく近い場所にいられるのなら、それほど嬉しいことはありません。将来のことはまだわかりませんが、チャンスがあれば挑戦してみたいです。

先日の関西選手権優勝時の写真。どんな大会でも優勝するのは簡単なことではない。幸せな瞬間だった。

 

インカレではどのようなレースが生まれるのでしょうか。私は心が燃え上がるような熱いレースを決勝でしたいです。17年の全てをぶつけて頑張ります。

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