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新人選とクルー目標、個人目標

こんにちは。3回生漕手の若林陸です。

最近、他の部員の皆さんのブログ読んでいて共感できることや参考になること、純粋に読んで良かったと思うことが多いです。その中でも、僕にとって浅井さんの文章には考えさせられることが多かったです。そのブログでは、自分の持つ目標意識をアウトプットにより無意識レベルまで落とし込むことで、レース中の何も考えられない極限状態においても身体が目標意識とそれに伴う感情に従ってパフォーマンスを発揮できるということを述べていました。自分も水泳をしていた頃、似たようなことを意識したことがあったので、その意見に共感しました。しかし、思い返してみると去年の新人選の準決勝ではそれがあまり実践できませんでした。

そのレースは、スタートで他3艇に出られ、コンスタントからは常にアタックをかけて必死に追いつき抜かそうとする展開でした。実際、1750m地点では2位と半艇身差の3位で、その勢いでスパートに入ればその先へ勝ち上がることも十分可能であったと思います。しかし、そのあとすぐに前半を飛ばした付けが回り、僕たちのクルーは一気に失速、他のクルーに置いて行かれ4着でゴールしました。スタミナが足りないと言えばそれまでなのですが(もちろん、このレース以来、スタミナは自分の課題の一つであり続けています)、それと同じくらい、もしくはそれ以上にあれは自身の中では確実に極限状態ではあったものの、そのような状況でももしかしたらもっと出し切れたのではないかという違和感が自分の中に残りました。

少し話が変わるのですが、水泳とボートは個人競技かチーム競技か、というところに違いがあります。しかし、いくらチーム競技であろうと、一糸乱れない動きをしようと、そこに乗っているのは一人一人の選手であり、「個人」です。一人一人考えていることは違って、一人一人果たす役割も微妙もしくは大きく異なります。自分一人だけではゴールはできないので、クルーで協力して艇を進めます。個人競技とチーム競技は、協力の有無が決定的な違いだと思います。そして、協力するときの合言葉がクルー目標であると思います。対して、自分が本当は何のために漕いでいるのか。これは一人一人の個人目標だと思います。

浅井さんのブログでは、無意識の領域は感情の領域であり、そこまで目標を落とし込むことで、極限状態でも高いパフォーマンスを発揮できるとしています。そして、そのときに落とし込むべきはより自分の感情や根源的なモチベーションに近い個人目標であって、決してクルー目標ではないと思います。ここが、僕が錯誤していた個所だったのかなと今とても思います。つまり、僕はクルー目標を自分に刷り込ませようとしていました。それは水に浮いている風船を水の中に沈めようとするような感じで、ふとした瞬間に目標に対して熱を失い、少し「非現実的だよな、、、」などと思ってしまう自分がいました。

また、新人選のクルーの時の練習を振り返ってみると、僕らは日本一をクルー目標として掲げていたものの、あえて悪い言い方をすれば、それは全員の個人目標も日本一であるという黙認のもと決定したものでした。クルーを組んでからは、その目標に向かって必死に練習しました。練習や並べでは、常に優勝タイムとの比較をし、あとどれくらい、と進捗確認をしていました。しかし、一人一人の個人目標をしっかりと共有するというプロセスを経てからクルー目標を決めなかったために、クルー目標が少しずつ浮いていくような感覚を覚えました。僕の個人目標も日本一だったのですが、口に出した瞬間、ドライに聞こえてしまう気がすることもありました。

その違和感は新人選、準決勝の最終局面で再び出現しました。ラストはとても不安定な漕ぎでありながらも最後まで全力を出し切りました。しかし、一瞬、何か、かすかに心の中で揺れるものがあったのを覚えています。最後の最後のスパートで僕は一瞬、さらに自分を追い込むことに対して躊躇してしまったのだと思います。今まではこんなことなかったのに、、と思いました。

、、、要は僕の心の弱さなのですが、極限状態でもぶれずに限界突破するためには無意識のマインドセットが非常に重要であり、かつその目標は自分で明確にした個人目標にするべきだというのが、僕が新人選で学んだことの一つです。

そして、ボートならではのクルー目標ですが、クルー内で協力プレイを推し進めるために設定したものであると言えます。そのために、クルー目標はクルーの各選手の個人目標を汲み取ったうえで決めるべき、もしくは少なくとも個人目標を全員でしっかりと共有した後に決めるべきです。そうすることで、クルー目標は各個人目標と結びつく、地に足のついたものとなり、クルー目標がキーワードとなって各個人の目標、そしてその先の感情や根源的なモチベーションを共有することにつながると思うからです。クルー内の選手が感情の領域でつながることができれば、協力はさらに個々人にとって励みになるものとなり、特にしんどい場面でその真価を発揮することになると思います。例えば、東大戦では、クルーの目標が個人の目標と密接に結びついており、結果として全員が持ってる力以上の力を出し切れ、最後のスパートでしっかりと上げれたのだと思います。

次の試合がいつになるかはわかりません。しかし、現在の僕の個人目標は「試合で優勝する」であり、水上練習に戻ったら量、質ともにレベルの高いものが実践できるよう、着実に準備を進めていきます。特に最後のスパートでしっかりと艇を進めれるようにしっかりと仕上げていきます。応援よろしくお願いします。

準決勝の日の朝の写真です。新人選についていろいろと話しましたが、この大会は僕を成長させてくれ、そして今でも僕の根源的なモチベの一部になり続けている、とても有意義なものでした。予選も準決勝も一生忘れません。いつかこのクルーで忘れられない決勝に行きたいです。VIVA 駿!
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