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ケンブリッジ大学のボートってどんな感じ?

私のカレッジ(ピーターハウス)のボート部

はじめまして。4回生コックスのジョアナです。

4回生だといっても、実は京都大学ボート部に入ったのは去年の10月でした。その意味ではまだ1回生ですが、その前の2年間はケンブリッジ大学のボート部で活動をしていました。ケンブリッジ大学のボート部について書きたいことが多すぎて、全部書いたら博士論文ほど長くなってしまうんですが、頑張ってケンブリッジ大学のボートの特徴を簡単に紹介したいと思います。

ボート部が多い

近代のボートが生まれたイギリスでは、ボートがとてもよく知られているスポーツです。ケンブリッジとオックスフォード大学はボートの発展に重要な役割を果たしてきたので、現在にもボートがすごく人気があります。

ケンブリッジ大学の学生数は京大と同じ程度ですが、一つのボート部だけは足りません。それぞれのカレッジ(寮みたいな、学生が日常生活を過ごす場所)はボート部があります。合計で、ケンブリッジ大学の中でボート部が35程度あります。人数はカレッジによって異なりますが、大きいカレッジは京都大学ボート部より部員が多い傾向です。

この建物は全てボート部です。

大学全体を代表する「ケンブリッジ大学ボート部」もありますが、これは最も優秀な選手に限られています。これに対して、同じカレッジのボート部の中でも、技術レベルはクルーによって大きく異なります。週1回ぐらいしか練習しない遅いクルーもあれば、5回、6回ぐらい練習する速いクルーもあります。つまり、最低限度の練習をしたい人も、一所懸命に練習したい人もボートに参加しています。

やばすぎる??「Bumps」というレース

ケンブリッジのカレッジが練習する川は、あまりにも狭くて横に並んでレースすることが全くできません。実はヘッドレースもたまにするんですが、一番大事なのは年2回行われる「Bumps(バンプス)」というレースです。毎回学生が1000-1500人ぐらい参加します。船が1艇身半ごとに縦に並んで、同時に出発して、前の船にぶつかる(Bump)という目的をするレースです。「へー??ぶつかる?やばいやん」と思っているでしょう。

その通りです。

いろいろなルールがあって、例外もあるんですが、基本的には前に船との接触がなければ勝利できません。なので、前の船に追いつこうとしながら、後ろの船に気をつけないといけません。接触があれば、Bumpした(前の船にぶつかった)船は岸側に寄って止まって、Bumpされた船はもう少し進んだ後に止まります。そのため、30秒ぐらい漕ぐのか、ゴールまで2キロぐらい漕ぐ(このBumpのない場合をrow overといいます)のかがレースの前に分かりません。あと、川は狭いだけではなく、カーブが多いので岸にぶつかるという危険もあります。コックスとして、どうしてもレースの前に死ぬほど緊張してしまいます。 さらに困ったことにスタートは大砲によって合図されているのです。

Bumpsは4日に渡って行われています。一つのクルーは毎日「Bump」すれば「Blades」を獲得して、記念にクルーの名前が書かれたオールを買うことができます。最悪では、4回Bumpされた場合、「Spoons」を獲得します。物質的なスプーンをもらうという習慣もあります。

Spoonsを回避できた私のチーム(3回Bumpされたが、最後の日にBumpsされなかった)
勝つより、負けないほうが嬉しいときもある。

このような危険なレースが最も経験のある選手に限られるのは当然かもしれませんが、実際にはそうではありません。以上に書いたように、ボートをする人の技術レベルが幅広いですが、それでもほとんどのクルーはBumpsに参加できます。クルーはディビジョンに分かれていますが、順番は前の年の結果に基づいているから、クルーのメンバーがだいぶ変わってしまい、同じディビジョンの中でも船の間の速度の差が大きくなるということが珍しくありません。

安全を守るためにルールがいっぱいありますが、毎年船が壊れたりする事故があります。実は1888年にBumpsのレースの間に漕ぎ手が相手の船に刺されて、亡くなりったという残酷な事故がありました。これはバウボールが世界中の船につけられている理由だと言われています。

私が出た2020の2月の「Lent Bumps」のビデオのリンクを下に貼りました。ぜひ見てみてください!

京都とケンブリッジの間に違いが多いですが、ボートはどこにでもすごく楽しいスポーツです。京都大学ボート部のみなさん、暖かく歓迎してくれて本当にありがとうございます!いつかケンブリッジで会いましょう。

ジョアナ