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ケンブリッジ大学ボート部のやばさ

こんにちは。4回生のジョアナです。

前回のブログについてですが、みなさんが興味をもって読んでくれて、本当に嬉しく思います。ありがとうございました。

前回のブログで述べましたが、ケンブリッジ大学の中でカレッジのボート部は圧倒的に多いです。しかし、カレッジのボート部に加えて、ケンブリッジ大学全体を代表し、他の大学に対してレースをするCambridge University Boat Club (CUBC)もあります。今回はこのCUBCをテーマにしたいと思います。日本に来る前に、2020年の9月に1ヶ月間ぐらいコックスとしてCUBCで練習していました。その前はずっとカレッジのボート部で練習してきましたが、CUBCは桁が違って、驚いたことがたくさんありました。

ところで、女子のチームもありますが、私は男子のチームしか練習していなかったので、女子の練習についてはあまり詳しくありません。

練習の施設がやばい

まず、練習の施設を紹介したいと思います。CUBCの歴史は1829年に遡りますが、現在ボート部の本部となるのが1882年に建設されたGoldie Boathouse (ゴールディボートハウス)です。これはケム川に沿って並んでいるボート部の一つであり、St Catharine’s College とJesus College のボート部の間に挟まれています。Goldieはエルゴ練習の主な場所となっており、中にはC2エルゴを40台ぐらい、RP3を30台ぐらい揃えています。

ライトブルーのドアがあるからGoldie Boathouseであることがすぐ分かります。

しかし、ケム川自体は非常に狭い上、遅いカレッジのクルーも邪魔になって、ハイレート練習ができる場所が限られています。そのため、CUBCの乗艇練習は5キロ離れたウーズ川にあるEly Boathouseで行われています。車かバスで30分ぐらいかかりますが、ウーズ川は他のボート部がほとんどなく、ケム川より広くてカーブが少ないので、行く価値があると考えられています。

瀬田川と比べると狭いですが、ケム川よりずっと広いです。

Ely Boathouse自体は2016年にオープンされて、とてもおしゃれな建物です。船の正確な数が分かりませんが、とにかく非常に多くて、ほとんどはEmpacherとFillipi です。

唯一の古いものはコーチが使っているモータです。CUBCが新しい船を買いたいときにOBOGはすぐに多額の寄付をしてくれますが、モータにはあまり関心がないらしいです。とても故障しやすいやつばかりなのでちょっと面倒くさいです。

オックスフォード大学との対抗意識もやばい

CUBCでは、何が一番重視されているのかというと、「オックスフォード大学に対する勝利」と言えざるを得ません。

オックスフォード大学とケンブリッジ大学はずっと前からお互いを敵とみなされているので、この対抗意識はボートに限られているわけではありません。ただし、The Boat Raceという、毎年4月に行われるケンブリッジ大学ボート部・オックスフォード大学ボート部対抗戦では、このライバル意識が頂点に達するといえるでしょう。東大戦はThe Boat Raceに基づいているので、少し似ていると思いますが、それぞれの大学の最高の選手が(今年はコロナの影響で場所が違ったが)ロンドンのテムズ川で6.8 キロで争うレースです。The Boat RaceはNHKみたいなBBCというチャンネルで全国に放送されており、毎年の視聴者数は600万人程度です。女子のレースも開催されています。今年のレースのビデオを以下に貼っておきます。

もちろん、私はCUBCに入ったところ、オックスフォード大学とのライバル意識についてすでに知っていましたが、最初のチームミーティングでヘッド・コーチが「私達の唯一の目的はオックスフォードを倒すことだぞ」と熱情的に言ったとき、少しびっくりはしました。

そして、実際に練習すると、漕手のモチベーションがだいたいオックスフォードに勝ちたい意欲によって維持されているということが分かりました。「オックスフォードに勝ってみせるぞ」というようなコールをするとみんな盛り上がって、練習後にもこれまでの勝利やオックスフォードの下手くそうな漕ぎ方がしばしば選手の話題に上りました。

ちょっと変な話ですが、CUBCの選手やスタッフはメールの結びで普通の「Best wishes」とか「Many thanks」の代わりに、「GDBO」を書くこともあります。God Damn Bloody Oxfordの略語ですが、翻訳しようとすると失敗すると思うし、成功しても失礼しすぎるので、とりあえず「私達はオックスフォード大学をあまり尊敬していない」というようなことを意味すると書いておきます。

練習と選手:言うまでもなくやばい

CUBCの選手はどの頻度で練習しているのかというと、―週に10回か11回が普通です。月曜は休みですが、土曜と日曜には2回乗艇練習があり、平日は基本的に朝にエルゴ、午後に乗艇という形で練習しています。とても厳しい世界なので、ボートにハマっている化け物のような人間しか入っていないといっても良いです。

男子のチームでは、普通に8月の下旬に50人以上の漕手が入ってきますが、4月までに30人以下の漕手しか残っていません。これが、技術やエルゴのタイムが足りないと、すぐに首になるからです。最初の日に首になる可能性もあります。めっちゃめっちゃやばい競争です。ただし、コックス不足はイギリスでも慢性的な問題なので、私のような下手くそなコックスでも2ヶ月ぐらい生き残る可能性が高いらしいです。

普通のOpenweight (体重無差別)の男子のチームの他に、Lightweight(軽量)のチームもあります。私が入っていた9月の間、LightweightとOpenweightのチームは一緒に練習していたので、LightweightのクルーにもOpenweightのクルーにもコックスとして乗りました。Openweightの男子の身長は大体185cm以上ですが、195cmを超える人もそれほど珍しくないと思います。2000mのエルゴに関しては、9月にも6:30を切る人がほとんどです。Lightweightのクルーの平均体重は70kgを超えてはいけないので、この人たちは比較的に背が低くて、2kのエルゴは6:30-6:45程度です。

私は入っていた間に2kのエルゴがあって、タイムを記録などで手伝いに行きましたが、その日、6:00を切ったOpenweightの男性もいました。めっちゃ怖いですね。この人はやっぱり人間ではないなと思うようになりました。しかし、コーチは特に驚かないように見えました。5:50を切って、オリンピックとかに出たことあるOBOGもいるからかもしれないと思います。今年の東京オリンピックに出るOBOGもいます。私が9月に毎日練習するのを見た男性(Darah Alizadeh)はバミューダ代表としてオリンピックでシングルを漕ぐらしいです。その上、CUBCのOBのコックス(Henry Fieldman)がイギリスの代表として男子エイトに乗り、OGのImogen Grant が女子軽量級ダブルで競う予定です。応援よろしくお願いします。

終わりに

9月にイギリスに帰ったらもう一回CUBCに入ってみたいと思っていますが、めっちゃめっちゃ厳しいから勉強と両立できるのかが心配になっています。日本であと二ヶ月半ぐらいしかないですね。寂しくなりますが、CUBCのコーチは日本のボートに興味があるようなので、帰ったらいろいろ京都大学ボート部について話をしたいと思います。

とにかく、頑張ります。一緒にボートにハマっている化け物になっていきましょう。