お世話になっております。今シーズン主将を務めます、116期の片岡陸人と申します。主将就任挨拶かつ決意表明という形で、現在の自分を分析した上で、執筆しましたので、ぜひ読んで下さい。
幼い頃から、自分には怠惰なところがある、と感じて生きてきましたが、最近忙しくなるにつれて、それをより強く実感するようになっています。
すべきことがあるとわかっているのに、すべきではないことに手を出してしまって、自分の甘さを日々感じて生きています。
怠惰だからと言って、1つのことにも夢中になれないわけではないです。むしろ、1つのことにのめり込むのは得意としてきたつもりです。
具体的に、「1つのものだけに本気で取り組んでいた」と自負できる経験を2つ挙げます。
1つ目は、浪人時代の勉強です。あの頃は、毎日欠かさず自習室に通い、最低でも10時間は勉強していました。
2つ目は、大学1回生時のボート部でのトレーニングです。高校の時から憧れであった全日本新人選手権でメダルを獲得するため、死に物狂いで練習しました。
では、上の2つの例のように、1つのことにのめり込んでいる時には、怠け癖を露呈していないのか、と言われるとそうではありません。あるものに夢中になっている時、その他の何かで、息抜きと称して怠けているのが私の特徴です。
具体的に言うと、浪人時は美味しいご飯を食べることを息抜きとして、健康や体型には全く気を遣いませんでした。1回生秋は、昼は練習のための休息時間と称して、常に滋賀に篭り、全く勉強しませんでした。その結果、1回後期の専門単位をほとんど落としました(2回生でしっかり回収しました)。
以上のことをまとめると、1つのことに夢中になれるというよりも、1つのことに集中するために、他の全てを蔑ろにしがちと言えます。自分に甘く、息抜きを欲するがために、「1つのことに夢中になっていれば良い」と、弱い自分を正当化するのが、私の本性だと思えます。「しんどくても息抜きすれば良いよ」と自分に言い続け、息抜きの比率が高くなりすぎることが多々あったと感じます。
ここまで、自分のことをかなり悪く書いていますが、上に挙げた自分の特徴も、まるっきり悪いことでは無いとも言えます。「1つのことにしか夢中になれない」というのも、それにのめり込めているわけですから、全てが中途半端になるよりは良いような気もします。「息抜きベースで考えてしまう」というのも、私は、突き詰め過ぎてしんどくなったり、病んだりすることは全くなかったので、そこらへんのコントロールは上手だったと思います。
本気でできるのは、1つだけ。
これまではそれでも良かったのでしょう。しかし、これからはそうもいかないのです。今、本気でやらなければならないことは、どれだけ少なく言っても3つあります。それは、ボート部での活動、就職活動、そして大学での勉強です。
上で述べたように、これまでの私は、やるべきことに極端な優先順位を付けて、優先順位の高いものだけ本気で取り組むことにより、優先度がそこまで高くないことを蔑ろにする自分を正当化してきました。
しかし、今回の3つは違います。もちろん、厳密には優先順位は付けられますが、どれも蔑ろにはできません。
主将を務めるボート部での活動は言わずもがなです。昨年度達成できなかった目標を達成するべく、過去のどの瞬間よりも本気のシーズンを過ごさなければならないと思っています。
就職活動も将来がかかっていることなので、蔑ろにしようがないです。ESの記入、面接対策、インターンへの参加など、突き詰めればキリがないものです。
大学での勉強については、私をよく知る部員は、疑問を抱くでしょうが、そろそろ卒業を確定させないと、4年の部活や就活に影響するので、今期、単位を取りこぼすことは許されません。
以上のように、優先順位はあるにせよ、最低でも3つのことに真剣に取り組まなければならないシーズンが始まりました。
ここで、過去の自分のように、息抜きベースで物事を考えてしまうと、全てが中途半端になり、しっかり取り組めば、人生でもトップレベルに充実するであろう1年が、中途半端なものになりかねません。
とういうわけで、ようやく私の決意表明になりますが、この1年は、「全てに気を張りつめて、3つのことに本気で取り組みます」。これまでしてきた、隙間時間の浪費を極力無くしていきます。人間、手を抜こうと思っていなくても、ついつい甘いところが出てしまうものです。よって、初めから「息抜きすれば良いや」と考えていては、ダメなのです。そういうことは、突き詰めて、突き詰めて、本当にしんどくなった時に、考えたら良いのだと思います。
大学1回生の頃に見た、T大のN村さんの部員紹介の一言に、こうありました。「T大生よ少なくとも三兎を追え」と。この言葉を見て、当時は、何でも要領よくこなしてしまうんだろうなーと感じたのですが、彼の行動や評判を聞くと、全てにストイックで、どんなことでも突き詰めるような姿が想像でき、考えを改めました。
この言葉はここ3年ずっと頭の中にあり、自分の甘さを実感する度に、「あ、この言葉には程遠いな」と感じて生きてきました。しかし、大学生活もあと1年。ここで挽回しなければ、もうチャンスはありません。
ということで、私はT大生では無いですが、少なくともこの1年は3兎を追わせていただきますよ!
以上のように、自分の甘さを排除し、3つのことを突き詰めるというのが、今シーズンの私の目標です。
長くなりましたが、読んでいただき、ありがとうございました。
話は変わりますが、インカレの感想を少しだけ。
ここからは、やや感情的に綴りますので、より一層文章が拙くなることを断っておきます。
M4-で出場し、3位でした。
前主将の木戸さんが引退しました。「1つ上でエルゴ頑張ってる人がいるなー」と入部時に思い、バウサイを選ぶことになったくらい、木戸さんと一緒に乗り、日本一を目指すことを意識していました。
1回生の全日本新人の結成時から、東大戦を除いて、同じ艇に乗り続けました。時には衝突もありましたが、木戸さんのおおらかさに支えられ、概ね良好な関係を築かせてもらったと思っています。
最後の大会、優勝して終わるはずだったのに。
インカレ期間、私が背中を痛め、思うように練習できませんでした。体が壊れてしまっては取り返しがつかないと思うあまりに、本気で追い込めなかったという後悔が残っています。
全国3位。高校時代の競技では、近畿大会でボロ負けするレベルだった私にとっては、全国で初めてのメダルは嬉しさを感じるものではありました。
しかし、木戸さんにとってはそうではありませんでした。3位と確定しても、「メダルは取れた」というような表情は1つと見せず、終始悔しそうだった木戸さんの顔が忘れられません。
「体のことを気にせず、限界を攻めていれば」とは言いません。が、2年ほどずっと一緒に乗ってきて、エルゴも切磋琢磨して、最高の先輩であり、ライバルであった木戸さんと、最後に、同じ気持ちを共有できなかったのが、悲しくて、そんな自分が惨めで仕方がありませんでした。
先輩の最後をこのような形で終わらせてしまった私には、来年のインカレで同じ気持ちを誰にも感じさせないようにするという使命があります。
ボートをしていると、「誰かのために漕ぐ」ということを聞きます。僕はこれまで専ら、自分のために漕ぐものだと考えてきましたが、木戸さんと同じクルーに乗り続けて、人のために漕ぐという気持ちもわかってきました。
木戸さんがいる時に金メダルを取ることは叶いませんでしたが、私の代で必ずや、悲願の金メダルを獲得します。
この気持ち、忘れないようにします。
片岡陸人