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バカになるということ

初めまして、一回生漕手の奥田林太朗です。
初ブログなのに挑戦的なタイトルにしてしまって、正直ドキドキしています。ですが、決してふざけているわけではありません。「バカになる」ということは、僕が思う京大ボート部最大の特徴であって、魅力だと考えています。このブログでは、京大ボート部とは何なのか、そしてそのボート部に対する自分の思いを書いていきます。そのため、先輩方やOBの方々はぜひこのブログをすべて読んでから、僕の処遇を決めていただけると幸いです。

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「なんか、ストイックだねー笑」
「法学部で勉強も忙しいのにボート部って、ほんとすごいよね」
これは、僕が京大ボート部に所属している旨を伝えた際、地元の友達に言われた言葉です。
褒めてくれるのは嬉しい限りです。でも、どこか、しっくりこない表現だなと感じました。
「いや、そういうことじゃないんだよ」
みたいに言ってもよかったのですが、なんとなく伝わらなさそうだったのでそのときは適当に流しました。

京大でボート部に入り、日々を勝利のために費やすのは「ストイック」なのでしょうか。それは自分に厳しい人だけができることなのでしょうか。全く逆だと思います。ストイックな人とは、やりたくもないことを遂行できる人のことです。僕はボート部にいて毎日が楽しいし、練習にも意義を感じることができています。だからこそ、自分はストイックなのではなく、やりたいことをやらせてもらっているだけの人間なのです。そのため、自分は常々、人間にも環境にも恵まれているなと感じています。

僕自身の話が続きます。僕は元々運動が嫌いで、小学4年生の時にバスケットボールを始めるまでは、休み時間も本ばっかり読んでいるような人間でした。ただすぐにふざける性格はすでに色濃く表れていたので、校庭で遊ぶときや体育でスポーツをするときは勝利よりも笑いを優先させていました。小4から中学卒業まで割と真剣に部活をしたことで運動に対する抵抗はほぼなくなりましたが、超インドア派というのは未だに健在で、何日間家の中にいても息が詰まらない自信があります。大学も、体育会系の部活に入るとかいう気は1%もありませんでした。どこか適当なサークルにいくつか入って、適当に楽しみながら残りの時間は家でゆっくり過ごそう、くらいに思っていました。「大学は人生の夏休み」ってよく言いますよね。僕にとっての夏休みってそんなもんでした。

それを一気に壊したのが京大ボート部なわけです。こんな引きこもり一歩手前の僕を惹きつけ、入部を決意させたのは一体何だったのでしょうか。それこそが冒頭でも触れた「バカになる」ということです。ここからはあまりオブラートに包まずに表現していきますのでご了承ください。京都大学とは、世間一般的に、またお世辞や謙遜なしで言って日本トップクラスの大学です。学ぶための環境がそろっており、勉学面にて血のにじむような努力をしてきた同年代の人間たちと交流できる素晴らしい場です。そんな京大生が、ボートというスポーツに全力になる。正直、自分が5年間頑張ったバスケと比べて、ボートは戦略や駆け引きといった要素が薄いスポーツだと思います。言い方を変えれば、戦略や駆け引きのような面で劣るクルーでも他の追随を許さないフィジカルがあれば勝てるわけです。バカみたいにキツくてフィジカル重視なスポーツ、略して「バカみたいなスポーツ」、それがボートなわけです。頭の柔らかさとか、暗記力とか、勉学への純粋な興味で京大に入学してきた人がこの「バカみたいなスポーツ」にバカみたいに時間とお金をかけているのです。変わったことをするのが大好きな僕にとっては、こんなに面白くて興味深いものはありません。「京大生がバカになる瞬間」、それに惹かれて、僕はボート部への入部を決めました。

ナックルレガッタにて。バカみたいな格好でバカみたいに漕いだ、最高の時間でした。

 

ボート部での生活は毎日が刺激的です。普段は権威ある京都大学に通い、その頭脳を遺憾なく発揮しておられる先輩方が、まだ空が暗い時間帯に起きて、ほっそい船をほっそい棒でグングン動かしている姿は「かっこいい」以外の何物でもありません。インカレ後のラストミーティングにて、前主将の片岡さんが「ボートで人の心を動かす」ことについて話しておられました。正直僕としては、先輩のボートで心を動かされっぱなしです。大会のレースだけではなく、日々の練習で目に入る漕ぎも、見ているだけで「ああなりたい」となるし、自分に「今のままじゃだめだ」と喝を入れます。まだ自分が後輩でいれるうちに、もっと得れるものを得ておかないといけないなと思います。

「ボート部に入部する」という選択は、僕にとって正解だったのでしょうか。そんなことをグダグダ考えても答えは出ないし、時間の無駄でしかありません。ただ僕はこれから、「ボート部に入って正解だった」と思えるような4年間を送ることを目標に頑張っていきたいと思っています。そのためには、他の協力など必要ありません。なぜなら、最高な4年間を過ごすための材料 ー最高の設備、最高の雰囲気、最高の仲間ー はすでに揃っているからです。あとは自分がそれをどう活かし、楽しむか。それだけだと思います。


4年間、よろしくお願いします。