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常に選手を見つめながら

去年の関選から先日の秋季まで、昨年の国スポと新人選を除いて、京大が出漕する全ての大会に参加しました。その中で「京大ボート部スタッフ」としてまともに参加したものは「今年の全日本、インカレ、新人選」だけです。この先参加するのは「来年と再来年の全日本&インカレ」だけだと思います。

お世話になっております。
関西学生ローイング連盟 競漕委員長/京都ローイング協会学生理事/京都大学ボート部2回生スタッフOBOG担当の寺田知優です。

11/22(土)〜24(月/祝)に加古川市立漕艇センターで、第36回関西学生秋季選手権を開催しました。昨年は荒天のため急遽マシンローイング大会になりましたが、今年は天候に恵まれ、水上でのレースを滞りなく行うことができました。
多くの出漕を賜り、誠にありがとうございました。漕艇センターや審判の皆様など、大会の開催・運営に助力をいただいた方々にも、心より御礼申し上げます。選手のサポートをしてくださった各大学のスタッフ・マネージャー・指導者の皆様もお疲れ様でした。ありがとうございました。

一番好きな写真
一番好きな写真

 

私が務めていた競漕委員長とは、簡単に、そして少し誇張して言えば大会の総責任者です。競漕日程や組み合わせ、大会そのものの開催可否判断など、かなり広範にわたって責任を負っています。とはいえ当然ながら恣意的に何かをすることは一切なく、如何に公平公正・平等な大会運営が可能となるかを常に考えています。

よく言われるのが、審判は「水上」、競漕は「陸上」を担当する、ということである。
すなわち審判は個々のレースそのものを、競漕は大会全体を管理する、と説明される。
ただし、いずれにしても
「全ての選手に公平に、最大限の力を出せる環境を創り上げる」
ことが第一義である点は、運営に関わる全ての人間に共通することである。
常に選手を見つめながら、業務に取り組むこと。

これは関西学連競漕委員長の引き継ぎ書の一番最初に書かれている、20年前の競漕委員長の言葉です。

“常に選手を見つめながら”

おそらく関ローにしろJARAにしろ、多くの競漕委員会の構成員の方々は、ローイングの経験者かと思います。対して私はローヤーを経ていない生粋のスタッフであり、選手の気持ちが完全にわかっているわけではありません。ボートに関わった時間も、たかだか1年半ほどです。そんな僕が、「選手」と言われてまず思い浮かべるのは京大ボート部のみんなのことです。

彼ら彼女らが実力を発揮するには、満足いくレースをさせてあげるにはどうしたらいいのか。

悩んだときにはこう考えるようにしていました。
そして、京大だけでなく、出漕申込をしてくださった一人一人の全ての選手に対して、完璧に近い形のレースを提供したい。楽しくローイングをしてほしい。頑張る選手の姿を見た全てのスタッフが、サポートの喜びを感じられるようにしたい。こう考えながら、一つ一つの業務をこなしていました。

とは言えしんどいこともたくさんありました。

期限を過ぎた出漕申込を断ったら審判長とプチレスバする羽目になったり、去年には全くなかったという変なお願いがいくつも届いたり、新人選中に長文ラインを送らなければならなかったり、急に学連のOBさんがブチギレたり。と、訳分からんことも多々ありました。20の大学とメールのやり取りをし、時には鬼のリマインド。134クルーが出漕する大会を運営する責任に推し潰されそうになることもありました。全ての選手が、この大会に向けて頑張っているわけで、彼ら彼女らの努力が実る場を提供しなければならない。特に、1回生はここを1つの目標にしている人たちも多いでしょうから尚更です。1人でも多くの1回生にこれからもボートを続けてほしい。嫌な思いをさせたくない。一つの判断を下すのに、何時間も熟考し、あらゆる可能性を考え、パソコンとiPadの画面に穴が開くくらい競漕日程と組み合わせ・上がり方に不備がないかを確認しました。

しんどい時・迷った時は、選考をしていた一回生たちの姿を思い出していました。
必死で2000ttを引き切り、水上選考を終え、その後も懸命に練習を重ねる新人たち。乾いたスポンジのように上回生のアドバイスを吸収し、毎日の振り返りを欠かさずどんどん上手くなっていく後輩を見て

頑張っているあの子たちに迷惑はかけられない。

と強く思いました。

11/16。迎えた加古川入りの日。とは言いつつも、正直行きたくなかったです。
前の週のストレス値がかなり高く、ご飯食べたらすぐお腹が痛くなって吐きそうになる感じで、行ったら◯ぬなーと思っていました。
なんやかんや言いつつも、準備はあっという間でした。水路作業はやっぱり楽しいし、初めから来ている学連員は特にやる気のある人たちばかりなので、自然とこっちも気分がのってきます。また、関東学連のバチクソ有能な元水路部長とお会いすることができ、非常にいい刺激になりました。

ゴールの先からスタートの見通し。
ゴールの先からスタートの見通し。

 

重機も使います
重機も使います

 

大会の前々日からは受付で届出の処理をします。受付に来てくださる主務や渉外の方とお会いすると、メールでやり取りしてた人はこの人かあ、と少し感慨深くなりました。会場に来てくださった人たちの顔や、艇置き場に並ぶ多くの艇を見ていると、嬉しくなると同時に責任感と緊張も高まります。

大会中は1秒がとっても長く、1日がとっても短いです。
せこせこ競漕記録と次ラウンドの組み合わせの確認をしていました。他に仕事がないことは、レースが上手いこといっている証左なのですが、常に不安で、考えても仕方ないことが頭に浮かんできます。隣に頼れる委員長がいてくれて本当によかったです。

迎えた最終日。順位決定戦とA Finalを残すのみでしたが、ここにきて濃霧が発生しました。天候のトラブルはナックルで経験済みでしたので、比較的冷静に対応ができました。一時は判定さんのテントから黄黒板が見通せないほどでしたが、徐々に晴れていき発艇定刻9:00にレースを開始できました。

そして迎えた最終レース。No.100新人男子エイトA Final。全艇がフィニッシュラインを通過し、主審艇から白旗が上がった時、涙が止まらなくなりました。無事に全レースを遂行できた安堵感と達成感。そしてなにより、エントリーしてくださった134クルー(棄権含む)がきちんと漕ぎ切れたことが本当に嬉しかった。

日生下も書いていましたが、選手の努力の結晶であるレースを見られることは、サポート側として本当にありがたいことですし、自分たちが主管する大会ともなればその喜びは格別です。さらに、自分たちが1から準備した大会で自大学が優勝する嬉しさは言葉では表しきれません。

レースNo.100で終わるの奇跡だとおもう。
レースNo.100で終わるの奇跡だとおもう。

 

大会というものは、主役となる選手はもちろん、それを支えるスタッフや監督・コーチ、各ローイング協会に学連、審判さんや漕艇場の職員さん、地域住民の皆様など、本当に本当に本当に多くの方々の協力によって成り立っており、一人として欠けては成り立ちません。お互いがお互いを思いやることが、選手が実力を発揮できる大会運営につながります。最終レースの白旗があがる瞬間。そこに至るまでの過程がなければそもそも大会が運営できませんし、出漕する選手やそれを支えるチームメイトがいなければ、大会を開催する意味がありません。

補助員のご協力ありがとうございました。
補助員のご協力ありがとうございました。


学連に入ることになったのは1回生の6月某日、経済学部生向けの数学の授業を受けている時でした。新人コーチからSlackが届き、徐にアプリを開いたその時。我が目を疑いました。

「@寺田知優 OBOG&学連(兼部門)」

???????

「あれ?部門って一つじゃないん?あれ?OBOGだけやと思ってたんやけど?」

少し混乱しつつも、まあいいかと納得(アホ)。もう1人兼部門で学連に配属されていた同期がいたからでしょうか。言われるままに関選で漁港監視をし、途中で何も言わずに帰ったその同期に困惑しつつ気づけば秋季。全日学連での参加となり、少しの寂しさを覚えつつも、あと3年ここでも頑張ろうと決めました

学連って酒飲んでるだけなんやろ?女子ばっかで出会いの場なんちゃうん。などなど何も知らない京大のスタッフから嫌なこともたくさん言われてきました。今なら鼻で笑ってあげられます。

なんやかんやしてたら食べるのに2時間かかったおにぎり。
なんやかんやしてたら食べるのに2時間かかったおにぎり。

 

初めて学連として大会に参加した灼熱の2024関選。
マシンローの運営に全く役に立てず、京大の同期のために何もしてあげられなかった2024秋季。
京大がほとんど出ていないのになんでわざわざ。と思いながらも、水路の楽しさが知れた西日本。
すぐそこで京大のみんなが漕いでるのに、一緒に応援できなかった朝日レ。
地獄のような暑さの中、休みなしで働き続けたアドレナリンドバドバ関選。
初めて競漕委員長として働いた達成感だらけの謎雨雲発生期末テスト2日前ナックル。
ここたさんとたなちさんの前で乾杯の音頭を取った(取らされた)学連総会&加古川事前説明会。
そして、2025秋季。

どの大会もイベントも、大切な思い出です。人間の脳とは非常に都合の良い代物で、終わるまでずっと吐きそうだった秋季も、今では楽しかったことだけが思い出されます。引継を書き終えた後の喪失感に耐えきれず、このブログを書き始めました。

関西に限らず、関東や中部でも新しく学連に入ってくれた皆さんへお伝えしたいことがあります(読んでくれてたら嬉しいなぁ)。
自大学に混ざって一緒に遠征したり、応援をしたいと思ったことが私も何度もあります。今回もそうでした。しかし、あなたが学連として活動してくれるおかげで、あなたの所属するチームの選手たちが大会に出場できるんです。上にも書いたように、主管する大会で自大が頑張っているのを見られるのは本当に嬉しいです。ぜひ学連でも、常に選手のことを考えながら、頑張ってみてください。

来年は学連の幹部はやらないつもりです。
「京大の主務がしたいから来年はやらない」
と伝えました。学連の同期には迷惑をおかけして申し訳ないです。

ただ、今後もヒラの学連員として、関西の諸大会の準備運営のお手伝いはしていきます。
常に選手を見つめながら、彼ら彼女らの血の滲むような努力を無駄にさせないよう、我々学連は働き続けます。

そして、私個人としては京大ボート部のスタッフとして、血反吐を吐きながら日本一を目指すみんなのサポートを、常に部員を見つめながら、全力で行っていきたいです。

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