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M4-に終止符を


大学生活の大半を費やしてきたボート部での4年間。振り返れば、喜びも悔しさも、数えきれないほどの経験がありました。このブログでは、そんな自分のボート部生活をいくつかの切り口でまとめてみました。まずは写真で4年間を振り返り、次に「ボート部で得たもの」、続いて「今のチームの良いところと課題」、最後に「4年間の経験から見つけた練習で意識すべきこと」を書きます。少しでも後輩の参考になれば嬉しく思います。

写真で振り返るボート部の4年間

秋季で優勝!ここからボートが一気に楽しくなった!
ビワイチは人生で一回だけでいい。腰が痛すぎた
川で練習してるのに休日も川に遊びに行く
長崎招待レース後の観光。コロナの時期で、やたらお金もらえてウハウハ!
自転車であらゆるところに行ったね!サングラスなくてゴーグルで行ったね!
よく人の家荒らしたね
初めての全日本。この大会が一番規模の大きい大会とも知らず、A決勝に行ったことの凄さはあまり分かっていなかった。戸田中が速くて視界に入っていなかったから、1位でゴールしたと思っていた。ここから3年間蓬莱に乗り続ける。
初のインカレはB決勝。整調のよしまささんはエントリーが速すぎる。コツを聞いても「入れるだけやけん」しか言わない。

2度目の長崎招待レース。小幡、迫真のじゃんけん。

回生旅行楽しかったー
2度目の全日本。惜しくも4位でメダル届かず。
2度目のインカレ。優勝しか考えていなかったから、3位は悔しかった。尊敬してる木戸さんとのラストレース。
秋季で初のシングルに挑戦。井出さんのおかげでめちゃくちゃうまくなった。試合は大雨でエルゴ大会に変更。ラッキー優勝。
ニュージーランドの選手と練習!足デカすぎ!そんな靴日本にないよ!
オフが少ない分、オフは絶対満喫する!
3回目の全日本。7位かー、悔しい。
関西選手権。新しく届いたエイトでレース!のつもりだった。フィンが取れるまでは。
ラストレースに向けて祈祷!行くぞ、日本一、全艇入賞!!

 

 

ボート部で得たもの

幼小中高と続けてきた野球をやめてボートを始めるという大きな決断をしてよかった。僕が入部したのは、新歓が楽しかったから、先輩の戦績を見て日本一が一番現実的な部活であったから、庄司さんという尊敬できる先輩がいたから、という理由でした。秋季までは、努力すればするほど結果が出て、それが楽しくてボートに熱中できました。初めて迎えた冬、そのころの自分には、この部活動を通して何が得られるのかが不透明で、あまり実感はないけど、ただ日本一になりたいがために練習していました。何かはわからないけど、人生で大切な何かを得られると思って続けてきました。4年たった今、それは間違っていなかったと確信しています。部活をしていて「自分はなぜこんなことをやっているのだろう」と悩んでいる人や、「京大ボート部 厳しい」などという予測変換を見て入部を迷っている人が、少しでも安心してボート部を続けていけるように、僕がボート部で何を得たかを書いていこうと思います。

 

チームを導く力

副将として、チームをどうすればより良くできるかを常に考えてきました。ボートはチームスポーツです。自分が強くなることも大切ですが、他人を強くさせることも重要で、チームが強くなるような取り組みを色々考えて実行してきました。具体的にいうと、不足しがちな栄養を補うために、オレンジジュース、BCAA、MDを導入したり、東レとの合同練習を実現したり、冬季に新人が成長しつつ上回生も飛躍できるような配艇や練習を考えたりと、新しい取り組みを積極的に推進しました。その過程で、人を動かすことの難しさに直面し、リーダーシップの在り方を真剣に考えるようになりました。導き出した答えは、一人一人を尊重し、チーム全体に明るい雰囲気を生み、自ら率先して行動し、判断基準を「チームが勝つため」にして考えられることでした。高校までもリーダーを務めたことが沢山ありましたが、これほど深くチームの導き方について考えたことは無く、貴重な経験となりました。

仲間と関わる力

普段から積極的に仲間と会話することを心がけてきました。後輩に過剰にべたべたして困惑されることも多々ありました。新入生にも自ら声をかけ、早くチームに馴染めるよう努めました。こんなことをするのには、ただ話すのが楽しいこと以外にも理由があります。小学生の時、野球チームのキャプテンでした。チームの主力で、天狗になっていました。仲間に「整備しろよ」と命令していた、嫌なキャプテンでした。メンバーからの信頼が段々薄れていくのを感じていました。危機感を持ち、命令ではなく「一緒にやろう」と伝えるようにしてから、信頼を徐々に獲得できました。この経験以降、仲間からの信頼は大切にしてきました。その信頼は、練習に対する姿勢でも得られますが、それ以外に、普段の会話から大切であると、練習以外の時間の方が長い合宿生活を経て学びました。

新しいことに挑戦する力

ボートと並行して、映像制作やデザインにも挑戦しました。大学1回生の時に、MARVELの映画を見て、映像製作に興味を持ちました。そこから独学で映像製作について学び、2回生の時にチームのPVを作りました。PVがカッコよかったことを理由に入部した人もいて、そこからさらにデザインにハマりました。https://youtu.be/3OfnEjcFiyw?feature=shared

3回生の時もチームのPVを作り、新入生のみならず、他の部活からも賞賛の声をいただきました。正月に実家に帰らず、ひたすら動画編集をしていました。正月は実家に帰りましょう。後悔します。https://youtu.be/l-ZZwCysRI4?feature=shared

この年の新歓は、新歓隊長として活動しました。SNSに投稿する動画を毎日欠かさず作って、ボート部の知名度を上げるとともに、チーム全体の動きを把握し統括して、多くの新入生を獲得することができました。

また、東大戦で大会初となる、本格的な中継を一人で担当し、カメラワーク、中継の構成など1から考えて、6時間に及ぶ中継を行いました。試合間に流れるCMや、テロップ、大会のロゴなどを全て作りました。https://www.youtube.com/live/WVPRQIKcP1c?feature=shared

これらの実績を京都大学体育会に認めてもらい、体育会全体のTシャツのデザインを担当しました。体育会初のTシャツ販売で、1500着を超える売り上げとなりました。

また、その年の東大戦で、大会Tシャツとパンフレット表紙のデザインを担当しました。

デザインについての知識が皆無の状態からここまで成長した経験で、新しい事に挑戦し、自ら学習する力を得ました。

 

自己を律する力、忍耐力

ボートは日常生活すべてが競技成績に直結します。睡眠や食事、日々の行動を整えることが不可欠であり、規則正しい生活を徹底するようになりました。目標を意識して欲望に流されないよう行動することで、強い自己管理力が養われました。また、エルゴの練習では必ず限界が訪れます。しかしそこから一歩踏み出し、もがき抜いた経験が、限界を突破する力を与えてくれました。苦しさを耐え抜いた先で得られる達成感は、他の競技では決して味わえないものでした。

挫折から学ぶ力

3回生の全日本で4位になった後、関西選手権に全日本のフォアを解体してペア2艇で出場しました。自分のペアは5位、もう一つのペアは優勝でした。自分の力不足で、全日本のメダルを逃したという事実を突きつけられたように感じ、ボート人生で一番悔しく、布団の中で子供のように大泣きしたのを覚えています。けれど、その経験が自らを見つめ直す契機となり、技術や生活を改善する原動力となりました。そこから、他人と比べるのではなく「過去の自分と比べて成長できているか」を基準に考えるようになり、精神的にも大きく成長できたと感じています。

こうして振り返ると、ボート部で得たものは実に多岐にわたります。自己管理力、忍耐力、挫折を力に変える強さ、チームを導くリーダーシップ、仲間との信頼関係、新しい挑戦への意欲など他にもたくさんあります。それら一つひとつが重なり合い、今の自分を形作っています。練習が辛く「なぜこんなことをしているのだろう」と思うときもあるでしょう。しかし必ずその努力は自分の力となり、振り返れば大きな財産になっていることに気づきます。後輩たちが悩んだとき、この言葉が少しでも助けになれば幸いです。

 

今のチームの良いところと課題

今のチームの最も良いところは、全員が「勝つ」という同じ方向を向いていることです。特にこの1年で、後輩たちのボートに対する姿勢が「みんなで勝つ」という意識に大きく変わってきたと感じています。また、これは選手だけではありません。配置が入っていないにも関わらず、わざわざ石山まで足を運んでビデオを撮ってくれるスタッフが沢山います。スタッフからも勝ちたい、勝ってほしいという気持ちが伝わってきます。本当にありがたいですし、やる気がみなぎってきます。僕が副将になったときに掲げた目標は、チーム全員に「勝つ」という方向に向かっていることに気づかせ、まとめることでした。その目標が少しずつ現実になってきていることを今、とても嬉しく思っています。

一方で、今のチームには課題もあります。それは、自己中心的な人が多いことです。自分の利益になることだけを優先し、面倒なことは他人に任せてしまう。あるいは、人に命令ばかりして、自分は動かない。そういう姿勢がチームの成長を妨げているように感じます。ボートはチームスポーツです。誰か一人が勝つのではなく、全員が一緒に勝つ競技です。だからこそ、「自分がどうか」ではなく「チームにとってどうか」を判断の軸にしてほしいです。自分の役割を果たすことはもちろん、周囲のために一歩踏み出せる人間になってほしいです。

 

4年間の経験で見つけた練習で意識すべきこと

ボートにおいて勝利を掴むために大切なのは、単に与えられた練習をこなすことではありません。ここでは、僕がこれまでの経験から強く感じていることを、エルゴ、水上、ウエイトの3つの観点から述べたいと思います。

エルゴについて

エルゴは、継続して取り組まなければすぐに成果が失われ、苦しさだけが増していく練習です。だからこそ、毎回の練習で「その日のベストを尽くす」という姿勢が不可欠です。完璧なコンディションの日などほとんどありません。体調が万全でなくても、その状況下で最も良いパフォーマンスを引き出す工夫を重ねることで、新たな発見や成長が生まれます。そして最後の一踏ん張りで「自分なら必ずできる」と言い聞かせることが、限界を突破する力となります。練習でこの強い気持ちを持ち続けた経験は、試合での自信や集中力にも直結します。

水上での練習について

艇に乗ったときに最も重要なのは、「常に考える」ことです。たとえ150分UTであっても、今の漕ぎのどこが良くてどこが悪いのか、改善すべきは自分なのかクルー全員なのか、艇の動きを感じながら思考を続けることが成果を左右します。そして、その気づきを積極的に声に出すことです。練習が充実する日は、多くの場合、序盤から誰かが声を出してチームが集中する雰囲気を作れています。乗艇前のミーティングで「お願いします」の一言をいつもより強く発するだけでも、場が引き締まり、全員の集中力が高まります。何でもいい、口に出そう。

ウエイトについて

ウエイトトレーニングにおいて、最も大切なのは「ボートのために行う」という意識です。単に重い重量を限界まで扱うだけでは怪我のリスクが高まり、成果も乏しいです。大切なのは、ボートの動作に直結するトレーニングを選び、自分の体に適した方法を見極めることです。スクワットやデッドリフトはいいとされますが、必ずしも万人に適するわけではありません。僕は3年間色々試しましたが、その2種目で怪我をすることが多々ありました。怪我をするくらいなら、しない方がいいと考えを改め、ボートの動作を意識したレッグプレスに特化しました。漕ぎに近い足幅と可動域で動作を行ったことで、停滞していたパフォーマンスが向上しました。筋肉をパンプアップさせて満足するのではなく、漕ぎにつながる動作に落とし込むことこそが、トレーニングの本質だと考えます。

エルゴで常にその日のベストを尽くすこと。水上で考え続け、声によって集中力を高めること。そしてウエイトで、競技に直結する動きを磨くこと。これらを積み重ねることが、勝つために重要だと考えます。

 

以上、大島の言いたいことをすべて詰め込んだラストブログでした。4年間ずっと目標としてきた日本一を必ず達成します。日本一になって、次はエイトで日本一を目指すチームへ。M4-に終止符を。